その日暮らし

精神的その日暮らし

『イタリア広場』

 

イタリア広場

イタリア広場

 

 

1860年代から1950年代までのイタリアを舞台に、
ある一族三世代の生き様を描いた小説。
この時代のイタリアがどうだったかなんて、
ファシズムが台頭してた時期があることしか知らないので、
作中で起こる出来事が何が何だか。
でも、それでも構わないのかもしれない。
それが誰であれ、
急にやってきて暴力をふるい、人々を殺すような権力集団は、
どんな主義主張であっても、おんなじ一つの得体の知れないバケモノであると、
作者が描いているようにも読める。

 

しかしそんな時代を描いているにも関わらず、
この小説に陰湿な暗さはない。
つかみどころがなく、歴史というより寓話のよう。
(実際、寓話との副題もつけられているそう)
不思議な雰囲気の小説です。
ガルシア・マルケスっぽいところもある気がする。
これもマジック・リアリズム作品と言えるのかなあ。
一応、男性陣が主人公なんだけど、
女性陣の方が印象に残るな、私は。
アニータとか、アズマーラとか、忘れちゃいけないゼルミーラとか。

 

 

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歴史と視点

 

歴史と視点―私の雑記帖 (新潮文庫)

歴史と視点―私の雑記帖 (新潮文庫)

 

 
昭和40年代(たぶん)に書かれた、エッセイ集的なもの。
前半は、太平洋戦争と、自身がじかに体験した戦車について書いてあります。
後半は日本史の中のあれこれを取り上げている。
実際に戦争に駆り出された人の生々しい話は、
戦争がいかに残酷でバカバカしいものかが、ひしひし伝わってくる。
この世代の人が、一人また一人と亡くなっていく現代に、
不安を覚えるのは私だけではあるまい。

 

前半で最も印象的なのは、
大正生まれの特殊性の話。
「大正時代というのはわずか十四、五年しかないのに、
その年代にうまれたひとのほとんどが兵士として駆り出され、
多くが戦死したため、戦争に使われた世代として、後続の世代のひとびとからは
一つカラーのようにみられるらしい」(本文より)
私の祖父母は大正生まれなわけですが、
なるほどこれが、大正生まれの人の実感なのか。
司馬遼太郎は大正十二年生まれ)

 

後半で最も印象的なエピソードは、
昭和26年、筆者が新聞記者として、
京都の施設を見学する昭和天皇を取材していた時、
ぼんやりと隣に立っていたら、振り向いた昭和天皇と衝突したという話ですね。
なんてユルい警備体制だろう・・・。
昭和40年代でもありえないようですが、現代でもありえない。
貴重な体験というか何というか・・・。

 

 

 

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草の花

 

草の花 (新潮文庫)

草の花 (新潮文庫)

 

 

戦後すぐのサナトリウム
「私」の同室には、
病状が悪いにも関わらず、不思議な空気をまとう汐見という男がいた。
難しい手術を前に、汐見は「私」に2冊のノートを託す。
そのノートには、汐見の失われた愛と青春の日々が綴られていた・・・


「第一の手帳」には、同性の後輩に対する愛情と、
暗い影がまだなかった時代の、18歳の美しい日々が書かれていて、
もの悲しくも静かな気持ちで読めます。
「第二の手帳」には、いつ赤紙が来るかという不安にさいなまれながら、
一人の女性を愛する24歳の孤独が書かれていて、
戦争の影に背筋が冷たくなりつつ、
もっと自分や相手にきちんと向き合えよ!と、
汐見に対しもどかしい気持ちで悶々としながら読むことになります。
戦後すぐ、結核が死の病であった時代のサナトリウムの描写や、
戦争中の市井の人々の暮らしの描写が、
歴史資料として興味深い。

 


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マルセロ・イン・ザ・リアルワールド

マルセロ・イン・ザ・リアルワールド (STAMP BOOKS)

マルセロ・イン・ザ・リアルワールド (STAMP BOOKS)

発達障害を持つ17歳の少年・マルセロは、
望まないまま父親の法律事務所でひと夏働くことになる。
マルセロのあるがままを受け入れ、愛してくれる母や姉や聖職者。
なんとか“ふつう”の人になってほしいと、
マルセロのあるがままを受け入れられないが、息子を愛してはいる父。
法律事務所という“リアル”な世界で、
マルセロは様々な人と会う。
理解してくれる人。
馬鹿にする人。
利用しようとする人。
そして一枚の写真を見つけたことで、
マルセロは自分の信じる道を進み始める。



面白かったー。
マルセロはもちろん、あの人やあの人がどうなるのか。
ハラハラしながら一気に読みました。
発達障害のことはあまり知らないのだけど、
参考になるかもしれない。
マルセロの父・アルトゥーロのような人っているよね。
私の父もこのタイプ。
気持ちは分からんでもないが、子には重すぎてしんどい時がある。






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マザリング・サンデー

マザリング・サンデー (新潮クレスト・ブックス)

マザリング・サンデー (新潮クレスト・ブックス)

マザリング・サンデーとは、お金持ちのお屋敷で働くメイドたちが、
年に一度、里帰りできる日。
孤児で帰る家のないメイドのジェーンは、
その日、秘密の恋人に会いに行く。
相手は近くのお屋敷のお坊ちゃん。
身分違いの恋とはいえ、長い付き合いなのだが、
お坊ちゃんは2週間後に、身分の釣り合ったお嬢さんと結婚することになっている。
そして1924年のマザリング・サンデーは、ジェーンの人生を大きく動かした。



前半は面白かった。
ジェーンの気持ちになって、
(身分相応に)偉そうだが魅力的なポール坊ちゃんにときめいてみたり、
彼と結婚する予定のお嬢さんに嫉妬してみたり、
寛大な雇い主にほっとしてみたり。
ジェーンの心理や情景描写が上手く、
3月なのにやたら暖かいその日の風が、頬に感じられるようだった。
なんだけど、後半になるにつれ、
どこに重心を置いて読めばいいのか分からなくなってきた。
激動のマザリング・サンデーその日がメインなのか。
その後のジェーンの人生がメインなのか。
どちらであっても、もう片方の比重が大きすぎるし、
どちらも描きたいなら、手直しが必要である。
せっかく面白い題材なのに・・・消化不良だった。






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