その日暮らし

精神的その日暮らし

桃山さん・その3

桃山さんの話・その3。



次に私が考えたのは、どうやって桃山さん宛ての電話を減らすかということだった。
地道だが、かかってくる度に言うしかない。
私は何となく、不安を覚えていた。
電話の相手は7割が、営業のようだったからだ。
何年も会社で電話を取っているので、
営業電話は喋り方や声のトーンですぐ分かる。
営業だもの、仕事で嫌々かけてるんだもの、
こっちが違いますと言ったところで、すぐに名簿から削除してくれるか怪しい。
会社から責められるかもしれないし・・・
別にあたしが削除しなくたってイイじゃん、
相手が違うって前に言ったでしょって、
怒ろうが構わないしー次もあたしがかけるとは限らないしー
面倒だから名簿に残しておこうっと。
・・・なんていう展開を想像したのだ。
それでは困る!



・・・私は考えた。どうやったら名簿から削除してもらえるか。
私が唯一思いついた方法は、相手に嫌な印象を与えるというものだった。
二度とかけたくないと思わせるのだ。
感じ悪いとは思ったが、他に思いつかなかった。



・・・そして・・・



「桃山さんのお宅でしょうか?」
「いえ、違います。あのーしょっちゅうかかってくるんですけどホント困ってるんです桃山さんはこの番号を前に使っていた人でウチは全く関係ないのにもう何回も何回もホント迷惑なんです桃山さんなんて知りません知ってますか?知ってるんだったら言ってあげて下さいよ困ってるんです迷惑してるんですいい加減にしてくれませんか(以下省略)」



相手が口を挟めないくらい、早口でマシンガントークで延々怒る作戦。
相手には申し訳ないと思うが、これくらいやれば、
こんな面倒な家にはもうかけたくないと、名簿から削除してくれるだろう。



優しいパンダ氏にはやりづらいことなので、しばらく私が電話を取った。
鳴ったら、それ来た!と走り寄り、喋りまくる。
機嫌の悪い日は、ちょっと八つ当たり気味だったこともあった。
臨戦態勢で電話を取ったら、パンダ氏実家からで、おっと危ねー、という時もあった。
営業ではなく、知り合いと思われる人には、もう少しソフトな対応をした。
こういう人は、間違いと分かれば、電話帳をそのままにはしておかないだろうから。
知り合いと思われる人には、桃山さんに伝えてくれということを強調した。
桃山さんが、知り合いの人にだけでも、番号が変わったことを伝えてくれてれば、
もう少し我が家にかかってくる電話は、少なかったはずなんだから。



関係ない人に不快な思いをさせて、よろしくないと分かってはいた。
でもこちらの生活も、侵害されていたのだ。
N☆Tがどうにもしてくれない以上、他にできることはなかった。




→続く!






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