祖母はどんどん耳が遠くなり、
今では私が耳元で、滑舌よく大きな声で話しても、
聞き取れないことがしばしばです。
単語だけ言う、など工夫して、
何度も何度も言ってるのに、
「え？」「え？」と繰り返されると、イライラしてくる。
そこで最近は、ジェスチャーを多用するようにしてます。
分からない時は腕を組んで首をひねったり。
そうそう、と大きくうなずいてみたり。
この方が、わりとスムーズに意思疎通できます。
祖母は私の顔を見るたび、名前を尋ねてきます。
「おたくは、何ていう名前だったかしら」
おたく、って・・・。
よそよそしい言い方だなー。
娘か孫だ、ということは覚えてるようです。
頑張って思い出してほしいので、
私は「なんだろうねえ～」のジェスチャーとして、腕を組んで首をひねります。
祖母「何だったかしら・・・」
私は腕を組んで首をひねります。
「最初の文字を、教えてちょうだいよ」
私は口を大きく開けて（口の動きがヒントになるように）、
「か！」と叫びます。
祖母「あ？」
私 「か！」
祖母「た？」
私 「か！」
祖母「さ？」
私、だんだんイライラしてきます。
そこで思いつく。
祖母の手を取り、手のひらに指で「か」と書きます。
祖母「ああ、“か” ね。か・・・か・・・かもちゃんね！」
私、オッケーの意味をこめて、親指と人差し指でマルを作る。
手のひらに文字を書いて意思疎通なんて、なんか、ヘレンケラーみたいだね！
祖母「かもちゃん、これ、どういう意味？」
祖母が親指と人差し指で、つぶれたマルを作って質問してきました。
あっちゃー。ジェスチャーが伝わってなかった。
なんでマルがつぶれてるんだ？
ジェスチャーは伝わらない場合もあるので、分かりやすくしないといけません。
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