痛みはひどいし、血は足りてないし、体はだるいけど、
それ以外の具合の悪さはなく、頭もはっきりしていたので、
とにかくヒマでヒマでヒマで・・・
本はさすがに読めなかった。読もうとしたが無理だった。
(本当は読書はしない方が良かったのかもしれない)
ラジオをイヤホンで聞くことしかできず。
寝たきりだから、お茶もいちいち頼まねばならず、それを吸い飲みで飲む。
うーむ。この年で、吸い飲みを使うことになろうとは。
最初はこぼしてしまったけど、やがて慣れて、すいすい飲めるように。
寝たきりの一晩は苦痛だ。
眠れないから、一時間が長すぎる。
早く時間が経ってくれないか。
つらいつらい一晩でした。
そんな夜のこと。
消灯時間を過ぎて、しばらく経った頃だろうか・・・
突然どこからか、朗々と響く声で、お経が読まれ始めたのです!!
中高年の男性だろうか?どこの部屋か分からないけど、かなりの声量。
この病棟にいるということは、状態が悪いのであろうに、よくこんな声が出るなあ。
「な~もあ~みだ~~んぶ~、な~もあ~みだ~~んぶ~」
えーっと、広島に多い浄土真宗かな?
とにかくヒマだったので、最初は私も「ヒマつぶしにいいわ~」と耳を傾けてたのですが、
開いている扉の向こうで、集まった看護師さんたちがボソリと、
「病院でお経・・・」
と呟いたのを耳にして、初めて、「確かにちょっと非常識だな」と気が付いた。
『病室で念仏を唱えないでください』という作品の前提には、
「病室で念仏は縁起が悪いから嫌がる人が多い」というものがあるはず。
しかもここは、状態が悪い人ばかりがいる病棟である。
そしてあの声量・・・。お経でなくても、非常識であろう。
お経はずいぶん長く続きました。
この病棟にいる状態で、よくそんな体力あるよね?
壁で仕切られてるのに、同じ部屋にいるかのように聞こえたよ。
「な~もあ~みだ~~んぶ~、な~もあ~みだ~~んぶ~」
ハリがあり、よく通る良い声でした。
後から夜勤の看護師さんに尋ねてみました。
「さっきお経が・・・」
「すみません・・・お坊さんが入院してらっしゃって、お経が日課なんだそうで・・・」
なるほど。なるほど。
日課はすばらしいかもしれんが、僧侶たるもの、
まわりの患者がどう思うかまで、考えを巡らせるべきではなかろうか。
体のしんどさに耐えている人に、心の負担まで負わせるべきではない。
せめて声を小さくするとか。
自分の日課だからと押し通すのではなく、まわりへの思いやりを持たなければ、
立派な僧侶にはなれないのではないでしょうか。
まあ私は「良いネタが取れた」と面白がるばかりでしたけど。
そんな話を思い出しました。
おしまい。
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