その日暮らし

精神的その日暮らし

【読書】ペンギンの憂鬱

 

 

春頃、大きな本屋をぶらついていたら、
見覚えあるタイトルの本が平積みされていました。
10年前に図書館で見かけて、タイトルが気になり読んだ本。
特に有名な小説でもない。
なんで今頃、こんなに平積みされてるの?と思ったら・・・
なんとこの作者、ウクライナのキーウ(キエフ)で育って、
今もキーウに住み、現地の状況をネットで伝えていると、本の帯に書いてある・・・。
そうだったのか。
というわけで再読。

 

売れない作家ヴィクトルの家には、動物園から引き取ってきた憂鬱症のペンギンがいる。
ある時から彼は、新聞に載せるために、
有名人や政治家の追悼文を書く仕事を引き受けることになった。
生きているうちに書き溜めておくという奇妙な仕事だ。
この追悼文の仕事を始めてから、彼のまわりで奇妙なことが起こり始める・・・

 

面白い。構成もよくできてる小説です。
ヴィクトルはわけもわからず振り回され、時に身の危険まで感じるけども、
やっぱり何も知らされない。
状況は結構切迫してると思うし、他の登場人物には悲惨な状態にある人もいるのだけど、
飄々とした筆致のためにそれほど深刻に感じられず、
さらさらと話は進む。

 

しかしね、今読むとね、前回読んだ時は読み流した地名が・・・
ハリコフとかオデッサとか・・・
しんどいね。
1996年に出版されたものですが、当時のウクライナは、
ソ連が崩壊して独立したばかり。
普通に銃撃戦があったり、マフィアが暗躍したり、地雷が出てきたりと、
だいぶきなくさい社会情勢です。
社会保障はきちんとしているとは言い難く、
生活も豊かとは言い難い。

 

作者は、ロシア語で書くウクライナ作家とのこと。
テレビで見たよ。ウクライナの人々の間で、ロシア語に対する態度が変わってきているって。
なんかね・・・なんでこんな意味のない殺し合いが行われているんだろう。

 

ウクライナを知るための一冊に。

 

 

 

 

 

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