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【読書】豚の報い

  

豚の報い (文春文庫)

豚の報い (文春文庫)

 

 

こないだ「日本人のお名前っ」だったかな、NHKの番組を見ていたら、
一般人のように登場して途中まで一般人のように扱われていたおじさんが、
実は芥川賞作家であると判明。
というわけで目にしたことはあったけど読んだことはなかった、
このおじさんの作品を読んでみました。

 

2作収録。
ひとつは「豚の報い」1996年芥川賞受賞作。
ある日突然スナックに豚が闖入したことで、
大学生の正吉は、女3人を真謝島の御嶽(ウタキ)に連れていくはめになる。
もうひとつは「背中の夾竹桃」。
かでなきちのそばで育ったミチコは、父が米軍人で母が沖縄人。
外見は白人だが、沖縄人として生きてきたミチコは、
自分の立ち位置がどこかはっきりしない。
彼女は危ないかもと思いつつ、
ベトナム戦争行きを控えた若い米兵士と親しくなっていく。

 

どっちも面白かった。
「豚の報い」は御嶽だの魂(マブイ)だの沖縄の信仰が詰まっていて、
登場人物たちがひたすら予測不能に動きまわるところがいい。
小説なんだから、人物がどう動くか分からないのは当然なはずなんだけど、
このしっちゃかめっちゃかぶりと、沖縄の強い陽光が、
妙な印象を残す。

 

「背中の夾竹桃」にはベトナム戦争の頃の沖縄があらわに描かれている。
米軍人相手に商売をする女性たち。町の治安が良くないことなど。
自分が何者で、これからどう生きていけばいいのか分からないミチコと、
ベトナムの過酷な戦線に送られることにおびえる兵士。
戦後すぐの沖縄で生まれ育った作者が描く沖縄。
私たちが知らない、もしくは知ろうとしない沖縄。

 

 

 

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