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昭和47年の小説です。
4世紀、巨大なローマ帝国。
絶大な権力を振るうコンスタンティヌス帝の弟の息子として、ユリアヌスは生を受けた。
しかしその身分ゆえに陰謀に巻きこまれ、暗く抑圧された年月を送ることになる。
哲学や古代ギリシア・ローマの叡智を愛するユリアヌスは、欲もなく、ただ学問を求めていたのだが、
その身分ゆえに、常に悪意や陰謀にさらされ続ける。
友人たちや愛する人々に支えられつつ、強く生きていくユリアヌスは、
やがて予想だにしていなかった運命の流れに乗せられていく・・・
ユリアヌスの短い数奇な一生を描いた小説。
面白かった!
この長さで、読者をほとんど退屈させずに読ませるのはすごいと思う。
ユリアヌスを襲う陰謀の数々の理不尽さに憤り、彼はどうなるのか・・・と気になり、
その他の登場人物も、激情に流されちゃったけどああどうなるのか・・・と気になり、
どんどん先を読んでしまいました。
背教者、というのは、作者がつけた枕詞ではなく、実際そう呼ばれてきたようです。
高校時代の世界史事典(婚家にまで持参)を引いてみたら、そこにも書いてあった。
しかしそうなると・・・この“背教者”という言葉に悪意がこめられているということが分かると、
あえてタイトルに使った意味が、深いものになってきます。
そして、一方の宗教から見れば“背教者”でも、もう一方の宗教から見ればまったく逆になるにも関わらず、
“背教者”の枕詞がつけられてきたということは、歴史は勝者に左右されるのだなと。
希望を言うなら、地図をつけてほしかった。
昔の地名なので、地理関係がよく分からない。
読み終わってから、高校時代の世界史図表(婚家にまで持参)を開いて、ようやく幾つか確認できた。
あ、浴場も何度か出てきました(笑)
「テルマエ・ロマエ」より200年くらい後の話みたい。
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