- 作者: 松本清張
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/02/23
- メディア: 文庫
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しかし夫は新婚一週間で行方不明になってしまう。
仕事の引継ぎをするために金沢へ行ったまま・・・。
禎子は夫を探すため、北の空へと向かう・・・
ドラマとかでとても有名なので読んでみました松本清張。
社会派ミステリって言うんでしょうか。
うーん、ミステリとしてはどうなんだろ。
私は早い段階で、犯人や動機がぼんやり分かってしまったんだけど。
でも普通に小説としては面白かったです。
北陸の気候の叙情的描写が素晴らしい。
見合いしてすぐに結婚したため、“夫婦”であるにも関わらず、相手のことをほとんど知らない。
こんな矛盾した状況が、ミステリアスな雰囲気をさらにかきたてる。
印象に残ったのが、昭和30年代という時代の雰囲気です。
役場の戸籍係が、突然尋ねてきた人間に、他人の戸籍内容ペラペラ喋っちゃうって・・・。
今ならあり得ない。そういう雰囲気が味わえたのが良かったです。
ただ、禎子が(ネタバレ規制)という状況で、
女性なら多くが抱くであろう不快感を全く抱いていない(描写がない)のは、
不自然だと思う。禎子がどこか人形のように思えるのはそのせいだろうか。