その日暮らし

精神的その日暮らし

西行花伝

西行花伝 (新潮文庫)

西行花伝 (新潮文庫)

武士として才能にも恵まれ、それなりの人生を歩んでいたはずの佐藤義清。
しかし彼は突然若くして出家し、西行と名乗り、
歌人として生きるようになる。
その生涯を、様々な人物の視点から描いた大作。



長かった。そして難しかった。
コトバがページ一杯みっちり詰まってる上に、小難しい内容が多いため、
丁寧に読んでたら一ヶ月近くかかっちゃった。
大河ドラマと同時代を描いているため、
たくさん出てくる登場人物の名前に見慣れたものが多く、
人間関係に混乱せず読むことができて助かった。
また、この本のおかげで大河が描かなかった歴史背景を知ることもできた。




「歌による政治(まつりごと)」といった理想を、
西行は一心に押し進めようとしていたが、
どうも理想が前に出すぎているのではないかと感じた。
例えば不幸な生涯だった崇徳院にそれを極めるよう求めるのは、
あまりに無茶な要求だったのではないか。
とはいえ、現実の生の過酷さ・理不尽さを考えた時、
真に救われる道はやはりそれしかないのであろうか?




あともうひとつ気になったのは、西行の妻への言及が、
出家前に悩んだという部分でぷっつり途切れていること。
待賢門院との秘密の恋に全身全霊をかけた情熱については、
熱く熱く語られているのに・・・。
自分で選んで結婚した相手ではないにせよ、若い妻をある意味捨てたのだから、
それについての後ろめたさをもう少し感じてもいいのではないか。
身近な人の犠牲を省みず、その犠牲の上に編まれた理想など、
はたして本当にまじりけのないものなんだろうか。
・・・ちょっと批判的になりましたが、
妻があまりに軽く扱われていることが非常に気になったので。
そこんとこのフォローが、少しでもあれば良かったのになあ。






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