その日暮らし

精神的その日暮らし

迷宮の将軍

迷宮の将軍

迷宮の将軍

シモン・ボリーバル。世界史の授業で聞いた覚えのある名前だ。
ヨーロッパ人の征服を経て、植民地となった南米諸国。
それを19世紀初頭に独立へと導いたのが、シモン・ボリーバルである。
命がけの戦闘を長年繰り返し、“解放者”と呼ばれ、栄光に輝いたシモン・ボリーバル。
ボリビアの国名は、彼にちなんでいるらしい。
この本は、そういう歴史上名高い英雄を描いたものである。
・・・ただし、華々しい日々の描写は、ほとんど出てこない。
この本が描くのは、病を得て、権力の座から降り、
みすぼらしい有様で死への旅路についた英雄の姿である。



広大な大陸の各地を解放し、人々に歓呼の声で迎えられた英雄も、
死の直前にはこうも寂しく孤独で屈辱を味わうことになってしまうのか。
私欲のためではなく、ただこの大陸の人々のために戦い抜いてきたのに。
あの栄光は一体何だったのだろう。
輝かしい部分ばかり描かれがちな英雄の、陰の部分のみを描くという手法が興味深い作品でした。
なお、タイトルは、シモン・ボリーバルの印象的な言葉から取られているようです。




はっとさせられた一節を引用させて頂きたい。
明け方の三時から雨が降っている、と告げた執事に対して、シモン・ボリーバルが答えた言葉。



「十七世紀の明け方の三時から降っているんだろう」



無情に冷たく、南米大陸に降り注ぎ続けてきた歴史の雨・・・・・・・










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