- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1978/12/01
- メディア: 文庫
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例のごとく豊富な知識に接する楽しみもあったけど、
それ以上に、八重山諸島の豊かな自然や鮮やかな色彩が
眼前に浮かんでくるような紀行文で、読みながらうっとりした。
与那国島からは、晴れた日には台湾が見えるそうな。
広島から見たら八重山諸島はとても遠いけど、与那国島はさらに西方へ遠い。
そういう島に住むって、どういう気持ちなんだろうなあ。
特に印象に残った部分を2点ピックアップ。
八重山諸島では、17世紀まで石器・木器の時代が続いていたそうだ。
「教科書的にいえば、人類が鉄器時代に入るのは気が遠くなるほどの古代」(本文より)
だが、歴史はどこも同じように進むわけではない。にも関わらず、
「歴史は均等に発達するものだという迷信」(本文より)
から私たちが逃れるのは非常に難しいと筆者は言う。
・・・なるほど、言われてみればそうだなあ。
もう一箇所。
「石垣島だけでなく八重山諸島ぜんたいがそうだが、最寄の大都会といえば、台湾の台北なのである」(本文より)
那覇よりも台北の方が近い。
店に並ぶ野菜も台湾ものが多く、戦前戦後も人の交流が盛んだったという。
・・・では“国境”とはいったい何なのだろう。ふと思ってしまった。