小林一茶の中年以降の生涯を描いた長編小説。
江戸でそれなりに俳人としての立場を得た一茶だが、
どうにも高い名声を得られず、貧しい生活を続けていた。
素晴らしい俳句仲間や門人たちとの交流を楽しみつつも、
故郷に父が残した遺産のうち、
自らの取り分を義母と弟からなんとか取り返そうと、遠く信州へ足を運ぶ。
やがて一茶は、独自の句境を見出す・・・
へえー。一茶ってこういう人だったんだ。
別に、DA PUMPのISSAの本名が、小林一茶から取られているから読んだんじゃないですよ。
(もちろん動機のひとつですが)
とても長い小説な上に、
たくさん挿入されている俳句をひとつひとつ味わっていると、
読むのに時間がかかってしまった。
でも、いいですね。
俳句の知識はまったくないけど、時々私のような野暮天でも、
あ、いいな、と思うものがある。
私が気に入った句は、どのページにあったか覚えてないので探せないのですが、
信州の大量の積雪の恐ろしさを知らない江戸のやつらが、初雪じゃーと喜ぶ様子にケチをつける句です。
信州の冬はすさまじい。
大量の積雪で家から出られない。
食物の冬支度も抜かりなくしておかねばならない。
雪が降り始めると、人々は、悪いものが来た、と嫌な顔をする。
そんな過酷な生活を知らない江戸の人々は、
初雪が降ると、風流だ、嬉しい、と喜ぶ。
それにイラッとする気持ちを歌った句。
複数あったかもしれない。
他にも、方言の面白さに気づくところとか、
江戸(大都会)に対して、憧れと共に反感(あんなところには負けねー)を抱く、
その心持ちに共感。
現代風に言うと、地方の活性化、地方創生ってやつですか。
気の合う仲間同士、気持ち良い金持ちの住まいで、
しかし下手な句は作れぬ緊張感と共に行われる、連句。
こういう流れで楽しむものなんだなあ。
それなりに才能があり、俳句が好きで好きでたまらない人には、
人生の最も喜ばしい瞬間なのかもしれないなあ。
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