その日暮らし

精神的その日暮らし

白痴

白痴 (上巻) (新潮文庫)

白痴 (上巻) (新潮文庫)

白痴 (下巻) (新潮文庫)

白痴 (下巻) (新潮文庫)

ドストエフスキーはこの作品で「真に美しい肯定的な人間を描」(解説より)こうとしたらしい。
純粋で高潔な心を持つムイシュキン公爵は、
あまりの単純さや周りの見えなさに周囲の人々から白痴!(=ばか!)と言われるが、
身の周りの出来事に“正しい”態度で対処しようとし、
女性たちから愛され、また自らも深く愛し、愛を貫こうとする。
しかし絡みあう思惑の中、物語は悲劇へと突き進む・・・。




ムイシュキン公爵は「真に美しい肯定的な人間」という。
本当に心が美しく、他人を信頼しきることのできる人間がいるなら、その周りには幸福があふれそうなものだ。
しかし公爵の周りは、そうはならない。
逆に公爵のせいで、事態は悪化しているようにさえ見える。
読んでいるこちらも、イライラしてくる。
作者はもしかして「真に美しい肯定的な人間」に対して、壮大な皮肉を描いたのだろうか。
と個人的には考える。
(それはイコール、心が薄汚れて他人を容易に信頼できない大多数の人間の肯定にもつながるのではないか、と勝手に考える)



それにしても、登場人物のほとんど全てが、
衝動的でヒステリックで、いつもわめいているのには疲れさせられる。
自分や自分の周りの人間はこんなことないよ・・・
これは19世紀の話だから、貧富や身分の差が激しい社会の話だから、だからこんななんだ・・・
そう思う反面、客観的に見たら、自分たちもやはり彼らのように、
自分の意見ばかり喉を嗄らしてヒステリックにがなりたて続けているのかもしれないと思うと、ゾッとする。






↓↓↓参加してます。ぜひ一日一クリックお願いしま〜す(*^▽^*)/
広島ブログ