- 作者: ロジャー・イーカーチ,樋口幸子,片柳佐智子,三宅真砂子
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 単行本
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歴史学者たちは長いこと、昼のみに着目し夜を軽視してきた。
しかし夜はその特性ゆえに、昼には生まれなかった慣習・文化・人の動きなどを生みだしてきた。
本書はそんな夜に育まれた歴史についてまとめたものです。
対象は中世から19世紀初頭のヨーロッパ・アメリカ。
夜の湿った空気が人の健康に害を与えるという考え方、
そういえば「赤毛のアン」にちらっとそんな台詞がありました。
アンの時代はこの本の対象よりかなり後とはいえ、
過去のこの考え方をベースにして、あの台詞が出ているのかな、と考えると興味深い。
公権力(教会や国家)というものは常に、
危険な夜を明るく安全で住みよいものにしようと努力していると思ってましたが、
そうではないらしい。
夜があるからこそ「昼の生活のすばらしさ」が実感される。
「神の意図によって、暗闇の恐怖はこの世の幸福をくっきりと際立たせる」のだそうだ。
ではキリスト教ではなく、
仏教・神道が主だった日本ではどうだったのだろうと、ふと疑問。
面白かったのは、途中、真夜中に中断を含んで、
「第一の眠り」と「第二の眠り」に分ける分割型の睡眠が、
近世の終わりまで西ヨーロッパでは当たり前だったということ。
私たちは夜眠りこんだら朝までぐっすりが当たり前だが、昔はそうではなかったらしい。
20世紀になってもアフリカで似たような傾向が見られた民族もあり、
人工光を使っているか否かで分割型の睡眠を取っているかどうかが変わってくるそうだ。
へえ〜。ということは、人工光のなかった昔の日本人も、分割型だったのかな?
現代の“眠らない”社会に警鐘を鳴らす一冊。
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