その日暮らし

精神的その日暮らし

陰翳礼讃

陰翳礼讃 (中公文庫)

陰翳礼讃 (中公文庫)

古本屋で安くゲットしたので再読。
『陰翳礼讃』他、いくつかのエッセイ集。
前回読んだものにも入っていたエッセイもあれば、初めて読むものもあった。
ほとんど昭和ひとケタ代に書かれたものなのに、古い感じがあまりしない。
むしろ今はレトロブームだから、かえって新しく感じてみたり。



世界に広まっている科学文明は西洋人が発明したものなので、
日本人はそれに無理に自分を合わせてる観があるけど、
もし東洋人が独自の科学文明を発達させていたなら、
モノひとつ取ってもそれは現行のものとは異なり、我々にもっとしっくりきていたであろうという話とか。
・・・なんかこの発想を基に、SF書けそう。もうあったりして。
(『陰翳礼讃』より)
東洋人の思う聖人は「浮世を捨てて山の中へ隠遁」するけど、
西洋人の思う聖人は街頭で積極的に人を助けるもので、
互いにこの価値観はどうも折り合えないとか。
・・・これは、漢詩の本を読んでても思ったなあ。違和感感じるほど世俗を嫌いまくるんだもの。
(『ラン惰の説』より。漢字出ず)
以前、このブログに、昔の人は“色”を自由に手に入れることができなかったから、
“色”に対する感覚が現代人には想像できないほど鋭かったのだろうと気づいて、
目からウロコだったということを書きました。
これは谷崎さんとは関係ない本を読んで悟ったことだったんだけど、
谷崎さんは“夜の闇”について同じようなことを書いている。
「夜の暗黒」「ほんとうの夜」というものを、人々(執筆当時)は知らない。
「今から千年近くも前の京都の夜の暗さと静けさはどれほどであったろう」
そう。その暗さと静けさを分からない限り、
昔の歌や源氏物語の世界を真に理解することはできないのかもしれない。
(『恋愛及び色情』より)
とまあ、他にもいろいろ、読み応えありました。
ただ私はもう、西洋から来た習慣・科学文明・価値観にどっぷりつかった現代人なので、
谷崎さんの意見を読みながら、「いやそりゃ西洋の方が理解できるわ」と思うことが多かったです。



ところで、にゃんこが大好きな人は「客ぎらい」の始めの方を読んでみたらいいと思う。
自分にも猫のしっぽがあったら便利だろうな、という妄想が書いてあります。
にゃんこ好きは萌えそうです。






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