グッド・フライト グッド・ナイト

グッド・フライト、グッド・ナイト──パイロットが誘う最高の空旅 (ハヤカワ・ノンフィクション)

確かに厚めの本ではあります。
だからって読むのに2ヶ月もかかるなんて。
それは、描かれる世界のあまりの美しさに、
しばしば字を追う目を休め、想像の世界に旅立っていたから。



著者はボーイング７４７の現役パイロット。
特殊な仕事ゆえに目にすることのできる、世界の様々な姿。
特殊な仕事ゆえに形作られる、普通とはちょっと異なる人と人のつながり。
そんなことが、ただ事実のみ語られるのですが、
ただの事実から立ち上る、温かさと、えもいわれぬ美しさ。
飛行機や航空業界の豆知識や、専門的なことも書いてあります。
少し難しいけど、それも面白い。



著者の抱く感動は、
自然や、人との関係など、昔からあるものに対してであり、
昔から人間が持っている感覚を通して得たものです。
しかし飛行機という文明の利器、さらには世界中に発達した航空産業がなければ、
この本に書かれる感動を得ることはできなかった。
少し前の人類と、感動の対象や得るための感覚は同じものであるにも関わらず、
少し前の人類では、この感動は味わうことができなかった。
うまく説明できないけど、そういう不思議さがあります。



朝ロンドンの自宅を出て、アフリカに飛び、アフリカで昼食を食べ、
ロンドンに飛び、夜ロンドンで友人と食事をする。
昼食をアフリカで食べたことは、夢の出来事だったのだろうか？



日本にいたことがあるそうで、日本についての言及も多い。
飛行機・空・飛ぶこと・世界の国々、
ひとつでも興味がある方には超オススメ。
手元に世界地図を置いて、ぜひもう一度読みたい本。






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