- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/21
- メディア: 単行本
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18世紀末、パリ。
侯爵の養い子である若い娘ジュリーは、金持ちの好色漢のもとへ後妻として送りこまれそうになる。
恋人もおり、ジュリーは断るが、怒った侯爵は修道院へジュリーを閉じこめてしまう。
ジュリーを育ててきた侯爵夫人は、ジュリーを救うために、ある変わった方法を取ることにする。
それは、この話を大衆に流布させ、大衆の声でジュリーを救うというものであった。
かくして醜聞が広まっていくのだが・・・
あまり書くとネタバレになるのですが、さすが佐藤亜紀さん・・・、
読み終わった後、どこかこちらも巧妙な罠に誘いこまれたような、そんなことはないような、
でもやっぱり罠にはめられたような、なんだか奇妙な感じ。
とはいえ、この方の作品にしては普通に読みやすかったと思う。
権力や金の力の下、追い詰められた人々が、大衆の声で救われる。
それは18世紀末、身分差や経済力差の著しい社会では、素晴らしいものであったろう。
しかし同時に、大衆の声とは、非常に危ういものでもある。
何が“真実”で、何が“出鱈目”なのか?
情報に振り回され、しばしば鵜呑みにする現代日本人にも、決して他人事ではない。
それにしても、実にタイムリーに出版されたものだ。
最近のニュース、
情報が規制されてる方々の国で、インターネットを使って人々が団結する姿と、この小説の世界が重なって見えてきた。
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