その日暮らし

精神的その日暮らし

リアル君の名は。

実家の祖母は、私の顔を見ると、
「旦那さんの名前は何だったかしら・・・思い出せないわ」
とすぐ尋ねてきます。
クイズ形式で思いだしてもらうこともあれば、面倒で答えないこともあります。
どちらにしろすぐ忘れて、10分後には、また同じ問いを発してきます。




ある日、相方と一緒に実家へ行きました。
私はちょくちょく行くけど、相方は数ヶ月に一度くらいです。
相方は客用のソファーに座り、小さいテーブルを挟んで、祖母が向かい側に座りました。
私は祖母の隣に座りました。
祖母は相方に気をつかい、しきりにお茶やミカンや菓子を勧めます。
「さっき昼ご飯を食べたばかりだから」
と何度断っても勧めるので、いささか疲れます。
(お客さんへのサービス心だけでなく、自分もついでに食べたいという下心もあるようです)
やがて断るのが面倒になり、私が黙ってお茶を飲んでいると、
祖母が口元を片手で隠して私の方を向いて言いました。



「ねえ、かもちゃん、旦那さんの名前は何だったかしら」



祖母は口元を隠し、こっそり囁いているつもりだったのでしょう。
しかし小さいテーブルを挟んでいるだけで相方は目の前に座っているし、
祖母の声の大きさはいつも通りなので、部屋中に丸聞こえです。
相方は聞こえないふりで、目をそらしています。
「本人が目の前にいるんだから、本人に聞いたらいいじゃない」
私が言うと、祖母は恥ずかしそうに笑います。
「本人に聞くのは悪いわ」
やっぱり聞こえていないと思っているようです。
相方はどう反応すればいいのか分からず、もじもじしてます。
「悪いことはないよ。聞けばいいじゃない」
「でも・・・」
祖母も、もじもじ。
「本人に聞いたら、おばあちゃん、もの忘れがひどいって思われちゃうから・・・」



うーん。
いったいどう反応すればいいものか。
目の前の人に聞かれたくない会話を、大きな声で、しかしあくまで内緒話としてする祖母。
客観的に見て漫才にしか見えないような、この状況。
祖母に合わせてコソコソと名前を教えるべきか。
「もの忘れがひどいなんて、とっくに知ってるっちゅーねん!」とツッコむべきか。
「てゆーか、この会話丸聞こえだし」とツッコむべきか。
結局、相方本人に名前を答えてもらったのですが。
今年の流行語候補「君の名は。
祖母はしょっちゅこの問いを、頭にぐるぐる描いてる。






↓↓↓「広島ブログ」参加してます。一日一クリックお願いしま〜す(*´∀`)
広島ブログ