その日暮らし

精神的その日暮らし

スウィングしなけりゃ意味がない

ナチス支配下のドイツの都市・ハンブルク
金持ちの不良少年少女たちは、ご禁制のジャズを聴き踊り狂っていた。
ユーゲントに密告され、ゲシュタポに殴られても、
ぼくたちは音楽を聴き、踊る。
馬鹿馬鹿しい理屈で有能なユダヤ人をどこかへ連れ去り、
働き手として必要な収容所の収容者を、無駄に殺していく、
それ、誰が得するわけ?
“お馬鹿の帝国”。
まわりの人たちは収容所に入れられ、あるいは負け戦の兵隊になり、
あるいは自ら去り、あるいは死ぬ。
そんな中で、まだ生きているぼくたちは、禁じられた音楽を聴く。




この作者の最近の作品の中では、ダントツ面白かったと思う。個人的には。
上記のあらすじを読むと、どれだけ悲惨な内容だろうという感じですが、
まあ悲惨ではあるけれど、
この作者の皮肉とユーモアたっぷりの硬質な文章で書かれると、
するする読めてしまう。
これは反戦小説なんだろうか?
そう言ったら作者は嫌がるかもしれないけれど、
戦争の馬鹿馬鹿しさを痛烈に見せつけられるのは間違いない。




一般人の若者の目から見た戦争、という点で、
流行りの「この世界の片隅に」と似ている部分があるように思う。
どちらも普通に生活したいだけの若者で(年齢も近い)、
どちらも無謀な戦争を仕掛けた国に暮らしていて、
どちらも国が自国民までも厳しく締め付けている。
そしてどちらも戦争により、いつのまにか大切なものを次々に失っていく。




もっとジャズの知識があれば、もっと面白いのだろうなあ。
せめて歌を知っていれば。






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