その日暮らし

精神的その日暮らし

安全第一

先日用事があって遠出し、帰りに実家へ寄った時のこと。
ちょうどその日の午後は、父も母も不在でした。
電話で母「おばあちゃんはいるから、お喋りしてあげてよ」
お喋りはいいんだけど・・・
問題は、祖母は私が帰る際、わざわざお見送りに来るのです。
玄関を出て、段を下り、車のところまで来ようとします。
そこまでしなくても最低限、庭に出て見送ろうとします。
今の祖母の足では、かなり危なっかしい行為です。
母が一緒にいれば、できないことはないけど、
一人ではまず無理。
転倒間違いなし。
しかし祖母にはそれが分からない。
「玄関を出ないで。庭に出ないで」
とうるさく言って、祖母も「分かったわ」と返事するくせに、
車を発進させて振り向くと、庭に出ている。
「分かったわって、言ったじゃないか!」
祖母は、私の車が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれる。
つまり私が去るまで家に入らないのです。
だから庭から家に入る際に転倒しても、私には分からない。
母がいれば、外に出るのを止めてくれるので問題ないのですが、
父も母も不在では、止める人が誰もいない。
そういう心配を母に伝えたところ、



「黙って帰っちゃえばいいんじゃない?」



という解決策を頂きました。
そうか・・・。
礼儀正しく挨拶して帰ろうとするから、いけんのだな。
すーっと祖母の部屋を出て、そうっと玄関の鍵を閉めて、そうっと帰ってしまえばいいのだな。
たぶん祖母は、私がいたことを忘れて探しもしないだろうし。
黙って帰るということは、なんだか失礼な気がするけれど、
安全第一ではないでしょうか。



結局・・・
当日行ってみると、祖母はこたつで熟睡中。
「わざわざ起こさなくてもいいか・・・」
私が別の部屋で、紅茶を飲んでくつろいでいた一時間、
祖母はずーっとこたつで熟睡。
黙って鍵を開けて入り、黙ってお茶して、黙って鍵閉めて出て行った私。
空き巣みたいで、なんだかなあ。






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