その日暮らし

精神的その日暮らし

十三の物語

スティーヴン・ミルハウザーの最新作。
邦訳が、最新作ということですが。
13の作品が収められた短編集で、
全体が4つのセクションに分かれ、それぞれ、
「オープニング漫画」「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」と、
ファンにはおなじみ、
ミルハウザーの十八番テーマがずらりと並んでます。



冒頭の「猫と鼠」は、『トムとジェリー』を深く思索的に掘り下げた不思議な作品。
あのドタバタアニメとは思えない雰囲気だけど、
実際のところ、トムもジェリーも、
深層心理でこう考えていてもおかしくないかも?なんて思ってしまう。



個人的には「ありえない建築」の作品たちが好きだな。
中でも、小さい方へより小さい方へと進む「ハラド四世の治世に」よりも、
大きい方へより大きい方へと進む「塔」や、
ありえそうで、よく考えたら絶対ありえない「ザ・ドーム」「もうひとつの町」が好き。
女性のファッションの変遷を描いた「流行の変化」や、
ミステリーちっくな「イレーン・コールマンの失踪」も面白かった。



ミルハウザー読み始めたばかりの頃、
どう考えてもありそうにない建築や発明品が、
あまりにリアルに、歴史に基づいたかのように描かれているため、
アメリカにはこんなものが昔存在したのか、すごいなあ、
と半ば信じていたものですが、
今になって分かる。
ミルハウザーの芸に、まんまと引っかかっていたのであると。






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