- 作者: M.バルガス=リョサ,木村榮一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/08/20
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新聞インタビューで言及してたので読んでみました。
作者は2010年にノーベル文学賞をもらってます。ペルーの小説家です。
面白かったわあ。小説の醍醐味ですね。難解だけど・・・。
普段本を読まない人には薦めてはいけない小説です。
最初の方で放りだすと思う。
時間と場所があちこち飛んで、今読んでるのがどこの時点の話なのかさっぱり分からない。
登場人物は多くて覚えきれないのみならず、
ほとんど説明もなしに新しい人がどんどん出てくるので、
何がなんだかぐっちゃぐちゃ。
さらに、一連の文章の中で、
時間も空間も人物も異なる二つの会話が、2〜3行ごとに交互に現れる箇所まであり・・・。
訳が分からなくなります。
でもねー、慣れてくると、この混ざった会話の良さが分かってきます。
決して適当に並べてるんじゃないのです。
読み手を心地よくあざむくために、よくよく注意を払って並べられてるのです。
後半になると、時系列や登場人物が読み手の中で整理されてきて、
彼らがこれからどうなるのか、まだ語られていない過去の中でどうなったのか、
集中して読んでいくことになるでしょう。
不衛生な状況を描いてるはずなのに、さほど嫌悪感も抱かず読めるのは、
筆致が乾いているからかなと思いました。
同じく南米(コロンビア)のノーベル賞作家ガルシア=マルケスを連想します。
ペルーというと、山間部のイメージが強いですが、
この作品は海沿いの砂漠の中の町や、ブラジル側の密林などが舞台です。
そうか、そういう場所も、そりゃああるよね。
充実して読ませて頂きました。